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スケルトンリフォーム

更新2023.02.14

リフォーム前提の中古物件購入で注意すべき意外な落とし穴とは?

マイホームを購入する際は、戸建てにするかマンションにするのか、場所はどこが良いのか、家族それぞれの希望や譲れないポイントを取り入れるにはどうしたら良いのかなど、考えることはたくさんあります。
最近では新築で家を建てるのではなく、中古物件を購入して自分たちの暮らしやすい状態にリフォームするという選択肢も注目を集めています。しかし、物件によっては希望通りにリフォームができるとは限らないため、購入前にしっかりと把握しておくことが重要です。
この記事では、リフォーム前提で中古物件を購入するのにチェックすべきポイントと、戸建て・マンション別の注意点について解説します。

中古物件をリノベーションするメリット

家と図面中古物件をリノベーションするメリットは、「費用を抑えられる」「住みたい場所に住める」「好きな間取り・デザインにできる」の3つが挙げられます。以下ではそれぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

1.費用を抑えられる

一般的に建物の価値は建築年数に応じて低下して価格が安くなるので、中古物件のリノベーションは注文住宅を新築するよりも費用を抑えられます。国土交通省の「令和元年 住宅市場動向調査」によると、物件の購入資金平均は中古戸建住宅世帯の場合2,585 万円、中古マンションの場合は2,746 万円です。一方、注文住宅新築世帯は平均 4,615 万円、分譲戸建住宅は3,851 万円、分譲マンションは4,457 万円となっており、中古のほうが新築よりも1,000~2,000万円程度安価で購入できることがわかります。
リノベーション費用も含めた場合でも、新築戸建てや分譲住宅より2~3割程度は費用を抑えられるといわれています。浮いた費用でインテリアのグレードを上げたり、新築よりも広い住まいを購入することができます。

 

2.住みたい場所に住める

新築で家を建てる場合、自分たちにとって住みやすい場所に更地を探すのは難しいでしょう。新興住宅でもない限り、同じエリアで更地が数多く売り出されることは、少ないからです。住みたい場所の条件は人それぞれ異なりますが、職場から近い、学校が近い、スーパーや病院が近い、治安が良く子育てしやすいなどさまざまな希望があるでしょう。しかし、条件の良い場所ではすでに多くの住宅が建てられています。更地で販売されていればよいですが、古家付きを新築で建てる場合は、更地にする解体費用が必要になり、予算オーバーになるケースも多いです。予算内で収めようと思うと希望よりも敷地面積が狭くなるなど、妥協せざるを得ない部分が出てきます。
また、駅の近くなど利便性が高い場所はすでに家や商業施設が多くあり、土地探しが難航することも多いでしょう。しかし、中古物件であれば駅の近くやアクセスの良い場所、治安の良いエリアなどの希望する条件にマッチする物件が、見つかりやすくなります。

 

3.新築同様の仕上がりにできる

中古物件をリフォームしても、希望通りの家にはならないのでは?とお考えの方もいるようですが、家の躯体のみを残したスケルトンリフォームであれば、内装や間取りはもちろん、外観も新築同様の仕上がりが可能です。建築の自由度は一からつくる新築には及びませんが、仕上がりに関しては間取りやデザイン、キッチンやバスタブなどの設備のグレードアップ、補強による耐震性の向上なども可能です。壁紙などを張り替えたり設備の一部を変えたりするだけの部分的なリフォームとは異なり、イメージとしては、新築同様の仕上がりが期待できます。

 

戸建て住宅をリフォーム前提で購入する際のポイントは「構造」

スケルトン状態の構造中古の戸建て住宅をスケルトンリフォームやフルリフォームすると新築同様の仕上がりを期待できますが、もちろん、すべての希望が叶えられるわけではありません。ここでは、中古物件をリフォームする場合の自由度が高い構造とその耐用年数、意外な落とし穴について解説します。

 

リフォーム前提で購入するなら構造をチェック! 

リフォームを前提に中古物件を購入するなら、チェックしておきたいのが「構造」です。
建築における構造は、構造材料と構造形式から表されます。同じ木を使った構造でも在来木造とツーバイフォー(2×4)などのように構造形式が異なる場合は明記が変わってきます。では、なぜ構造をチェックするべきなのか。それは、構造によってリフォームの自由度が異なるからです。中古物件を購入後に間取りを変えたいと思っていても、構造によっては思い通りの間取り変更ができない物件もあるため、間取り変更など大規模なリフォームを前提とした中古物件の購入には構造が重要になります。

 

構造で違うリフォームの自由度

リフォームの自由度が高い構造はズバリ!「重量鉄骨造」と「鉄筋コンクリートのラーメン構造」です。この2つの構造は柱と梁で建物を支えており、極端なことを言えば、柱と梁さえ残っていれば壁を取ったり、床を抜いたりということも可能です。そのため、大胆な間取り変更や壁を取り去った大空間をリフォームで叶えることが可能です。

 

構造で違う耐用年数

耐用年数表構造によって変わるのは自由度だけではなく、耐用年数も違います。耐用年数を簡単にいうとその資産の使用可能期間です。ここで言う法定耐用年数はあくまで減価償却年数を定めたものであり、実際の建物の寿命ではありません。実際の耐用年数はメンテナンスによっても大きく変わってきます。ですが、構造の目安として捉えておくのに間違いではありません。
この耐用年数でも重量鉄骨造が34年、鉄筋コンクリートが37年と他の構造よりも長いです。これから長く住み続けるなら、耐久性が長いとされている構造体の方がより安心ではないでしょうか。

 

中古住宅のリフォームに潜む落とし穴とは?!

落とし穴に落ちそうな男ここでは、中古住宅をリフォーム前提で購入したいとお考えの方が注意しなければならない、「鉄筋コンクリート造」「鉄骨造」「ハウスメーカー」この3点について、詳しくお伝えさせていただきます。

 

1.鉄筋コンクリート造には2種類ある

おすすめの構造としてあげた鉄筋コンクリートですが、鉄筋コンクリート造にはリフォームが行いやすいラーメン構造とリフォームが行いにくい壁式構造があります。ラーメン構造は先述した通り柱と梁で支える構造に対し、壁式構造は壁自体が構造体の役割を果たしているため、構造壁を撤去したり移動したりすることができません。そのため、大胆な間取り変更は難しい構造体なのです。ただ、既存の間取りが気に入っているのであれば、ラーメン構造のように柱や梁がないため、スッキリとした室内空間を叶えられますし、耐震性や遮音性は壁式構造の方が優れているというデータもあります。

 

2.鉄骨造で自由度が高いのは重量鉄骨のみ

鉄骨造にも重量鉄骨と軽量鉄骨があり、リフォームの自由度が高いのは、重量鉄骨になります。鉄骨造でも重量鉄骨と軽量鉄骨では耐用年数にも開きがあります。築年数が経過した軽量鉄骨は構造躯体の劣化が激しい場合があり、その補強には高額な費用がかかります。その場合、新築とあまり変わらない費用になることも…。また、重量鉄骨造がリフォームの自由度が高いのに対し、軽量鉄骨造はリフォームの難易度が高いと言われています。その理由は、軽量鉄骨造で建てられているハウスメーカーの工法が、そのハウスメーカーごとに違うため、ハウスメーカー独自の工法を理解するには技術と経験を要するからです。

 

3.ハウスメーカーの住宅はリフォームしにくい?!

ハウスメーカーが建てた建物なら安心と思われ、中古物件を購入の際にメリットに感じている方も多いと思いますが、ハウスメーカーの構造体としてよく使用されるのが軽量鉄骨造です。先述した通り、ハウスメーカーの軽量鉄骨造はハウスメーカーごとに独自の工法が用いられています。そのため、工法が複雑で軽量鉄骨造のリフォームは難易度が高いと言われる所以です。その中には、筋交い(ブレース)で強度が保たれていることがあり、この筋交い(ブレース)によって間取り変更に制約が起こる場合もあります。
このように、ハウスメーカーで建てた家は独自の工法となっているため、ハウスメーカーの住宅をリフォームした経験が無かったり、浅かったりするとリフォーム依頼を受けてもらえないケースもあります。自社の工法を熟知している同じハウスメーカーに依頼をするか、ハウスメーカーのリフォームを多く手掛けている、経験豊富なリフォーム会社に依頼するようにしましょう。もちろん、ハウスメーカーの戸建て住宅がリフォームできないという訳ではありません。構造を理解する技術力があれば、間取り変更などの大規模なリフォームでも可能な場合もあります。

当社でも、ハウスメーカーの二世帯住宅を単世帯住宅にリフォームした事例がありますので、参考にしてください。
この事例を見る

 

分譲マンションをリフォーム前提で購入する際のポイントは「管理規約」

管理規約とメガネとペン中古マンションを購入してリフォームできるのは「専有部分」のみです。専有部分とは、購入したマンションの居室内で、一般的にはマンションの外観に関係する窓やサッシ、バルコニーや共有で使用する廊下、メーターボックスやパイプスペース(PS)などは変更することができません。ただし、各マンションの管理規約によって異なりますので、行いたいリフォームが可能なのか購入前にきちんと確認しておきましょう。
当然可能だと思っていたリフォームでも、管理規約によって行えないケースもあります。当社の例だと、お客様は床の仕上げを既存の絨毯からタイルに変更を希望していましたが、管理規約に荷重制限があり、希望しているタイルを使用できなかったケースがありました。内装の変更なので当然可能だと思っていたリフォーム内容でも、制限が起こるケースもあるので、購入前に管理規約を確認しておくことが大切です。ご自身での確認が難しい場合は、不動産の担当者に確認するか、リフォームをお願いしたいと思っているリフォーム会社に確認してもらうと良いでしょう。

 

専有部分の間取り変更

マンションリフォームでも大胆な間取り変更は可能です。リフォーム前提で中古マンションの検討をしているのなら、現状の間取りも重要ではありません。ただし、水回りの変更は難易度が高く不可能なケースもあるので注意が必要です。通常マンションではパイプスペースやパイプシャフト(PS)と呼ばれる上下水道や、ガス管などの配管スペースが住戸内に上階の配管が通っているので、縦管は移動することが困難です。そのため、パイプスペースから大きく離れた位置に水回りを移動するのは難しく、大規模なリフォームの場合はパイプスペース(PS)の位置を意識して計画を行う必要があります。

 

共有部分もリフォーム可能?!

通常リフォームができないとされている、窓やサッシ、玄関ドア、バルコニーや専用庭などの共有部分でも管理規約によっては行えるケースもあります。当社が手掛けた事例でも、専用庭にリフォームで水盤を設けた実例や、床に勾配が見つかり、駆体の傾きを確認した結果を踏まえて外部サッシを取替え、新たに断熱材を加えることで住環境を改善した実績もあります。また、玄関ドアの外側の変更は行えなくても、室内側はインテリアに合わせて変更することも可能です。難しいと思われるリフォーム内容も、まずは相談してみることが大切です。
専用庭をリフォームした事例を見る

サッシ(窓)を変えた事例を見る

 

中古物件リフォーム費用の相場

見積り書と電卓中古物件リフォームと一口にいってもさまざまな物件、さまざまな工事があります。どのような物件でどのようなリフォームを行うのかによって費用は大きく異なりますが、比較的大規模に戸建て住宅のリフォームを行う場合の費用相場は1,500万円~。一方マンションリフォームの場合は1,000万円~が、目安とされています。戸建て住宅の場合は耐震補強や外壁の修復などを行うケースも多いため、マンションよりも高額になっています。もちろん、住宅の規模や行うリフォームの難易度、内装材に使用するグレードや、キッチン・浴槽など設備のグレードによっても費用は変動します。

 

中古物件をリフォームする際の注意点

工具とpointの文字費用面や住みたい立地を選びやすいなどさまざまなメリットのある中古物件のリノベーションですが、注意したいポイントもあります。ここでは中古物件をリフォームするときの注意点について3つのポイントを紹介します。

 

1.築年数が古いとリフォーム費用が高くなる

築年数が古い物件の場合、リフォーム費用が高額になってしまいます。これは1981年6月に耐震基準が見直されたことが関係しています。旧基準で建てられた物件の場合、リフォームするときに新基準に対応するように工事をしなくてはなりません。比較的大規模な耐震工事が必要になるので、物件自体が安かったとしても工事費用は多くかかります。
また、木造であれば構造や基礎部分にシロアリの被害があったり基礎が腐食していたりするケースも少なくありません。この場合は補強工事が必要です。古い物件は断熱材が入っていない、もしくは足りないケースもあり、冷暖房がききにくく住み心地が悪くなります。そのため断熱材を追加したりサッシや窓ガラスを断熱効果の高いものに交換したりと、費用がかさんでしまうケースも考えられます。

 

2.急ぎの引っ越しには不向き

大規模なリフォームはある程度工期に時間がかかるため、すぐに引っ越したい場合は不向きです。スケルトン工法という骨組以外をほぼ解体し作り直す方法では、建物の検査から設計、施工まですべて含めて3~4ヵ月程度はかかります。もちろん、新築より工期はかかりませんが、建売住宅や分譲マンションを購入したときのように契約後すぐに住めるわけではありません。リフォームでは実際に解体を行ってみないと分からない部分も多く、予期せぬ事態も起こりえます。解体してみたら、シロアリに躯体が侵食されていたり、雨漏れで躯体が脆くなっているケースなどはよくある話です。この様に予期せぬ事態で施工開始が遅れてしまえば、完成も遅くなるため、ある程度余裕を持った計画の方が安心です。

 

3.リフォームの自由度には限界がある

躯体のみを残したスケルトンリフォームや家の内装すべてをリフォームするフルリフォームを行えば、中古の戸建て住宅も中古マンションも新築同様の仕上がりが期待できます。しかし、叶えたい希望によってはリフォームでは難しいこともあります。大規模なリフォームになればなるほど、当然費用もかかります。中古物件を活かして叶えられるケースであれば、リフォームで行えることは限界もあります。既存の中古物件からかけ離れた要望をお持ちの場合は、新築の方が適したケースもあります。リフォームで叶えられること、新築の方が適していることを見極めることが大切です。大開口や大空間を望んでいる場合は、新築とどちらが適しているか比較することをお勧めします。

 

まとめ

中古物件のリフォームは新築の注文住宅や分譲マンションを購入するよりも費用を抑えられるケースが多く、好きなエリアや立地を選びやすい、間取りやデザインの変更も可能で自分好みに作り替えられるといったメリットがあります。ただし、戸建て住宅・マンションそれぞれに、リフォームできる部分とできない部分があるためしっかりと把握しておきましょう。
リフォームの際には信頼できる業者選びも大切です。また、中古物件を購入してリフォームするか新築かで迷われている場合は、新築もリフォームも行っている会社が最適です。リフォームだけ、新築だけを行っている会社では正しい判断は行えません。また、行っていても事業所が別の場合や営業マンが異なる場合は同じことが言えるので、注意が必要です。公平な立場でジャッジできる専門家に相談しましょう。

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クラフトスピリッツが手掛けたスケルトンリフォームの事例紹介です。

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