更新2023.02.14
50代・60代のリフォームが増えている理由とは
50代・60代はマイホームのリフォームに適した年代です。理由のひとつには、仕事のセミリタイアやリタイア、子どもの独立などでライフスタイルが大きく変わることがあげられます。また、古くなった家はあちこちに不具合が出て住みにくさを感じるものです。仮に30代で新築購入したとすると、すでに20年が経過。リフォームが必要な時期でもあります。
この記事では、自宅のリフォームを考え始めている50~60代の人に向けて、第二の人生を快適に暮らせるリフォームの事例やリフォーム業者を選ぶ際の注意点などを解説します。
50代以降のリフォームのきっかけ
「家のイメージを一新したい」「住みづらさを感じるようになった」「水回りの劣化が気になる」など、リフォームを考えるきっかけは人それぞれです。50代・60代で実際にリフォームをした人の多くは、次のようなことがきっかけでリフォームを行っています。
子育ての卒業
子育て中はどうしても子ども中心の生活になってしまいます。インテリアひとつとっても、自分の好みよりも子どもの安全などを優先したのではないでしょうか。また、教育費にお金がかかるため、リフォーム費用を捻出するのも簡単ではありません。子どもの成長・独立をきっかけにインテリアを一新したり、子ども部屋を書斎を兼ねた趣味の部屋やゲストルームにしたりといったケースが多いのが、50代・60代のリフォームの特徴です。
親の介護
50代・60代は、親との同居や介護をきっかけとしたリフォームも多い年代です。親との同居を考え二世帯住宅にリフォ―ムしたり、足腰に不安がある高齢者も安心して過ごせるよう、段差をなくしてバリアフリー対応の住宅にリフォームしたり。その他にも、入浴中の事故を防ぐために浅めの浴槽にする、ヒートショック予防に浴室暖房を設置する、介助のためにトイレの幅を広げるなどのリフォーム例があげられます。
実家を相続
少子高齢化の影響で空き家の急増が社会問題になっていますが、相続した実家をリフォームして有効活用する人もいます。現在の自宅からの住み替えはもちろん、立地によってはセカンドハウスや別荘として利用しているようです。都市部など利便性の高いエリアでは、賃貸や民泊・シェアハウスなどの需要も見込めます。住む人がいなくなった実家をリフォームして賃貸経営を始めたというケースは、空き家対策になるうえ、家賃収入も得られて一石二鳥と言えます。
ペットを飼い始めた
時間的にも精神的にもゆとりが持てる50代以降にペットを飼い始めた方も多く、ペットと快適に暮らせる住まいにリフォームするケースです。かわいいペットでも、においやいたずらが気になるものです。かじったり爪とぎをしたりするため、壁や床がボロボロになってしまうということは、けして珍しいことではありません。リフォームの際にはペットが暮らしやすく、傷に強いペット用の壁紙や床材に貼り替えたという人が多いようです。特に、消臭効果や掃除のしやすさなどを重視した素材が選ばれています。
身体が動くうちに老後の住処づくり
いざリフォームをするとなると、業者の選定や打合せ、仮住まいへの引越しなど、住まいの片付けなど多くの時間と手間がかかります。年齢を重ねたときに体力や気力が保てるかを不安に感じ、「少しでも若いうちにリフォームをしておこう」と考える50代・60代は少なくありません。バリアフリーなど将来的な住みやすさも考慮したリフォームを行っておけば、安心して老後を迎えられるのではないでしょうか。
50代・60代のリフォーム事例
ここでは実際に50代・60代のリフォームの実例を見て行きたいと思います。
お子様との二世帯住宅にリフォームしたり、お子様の独立をきっかけに夫婦二人での生活が一層楽しくなる住まいにリフォームした事例など、実際の事例だからこそ、参考になる点も多いと思います。皆さんのリフォームにぜひ活かしてください。
二世帯住宅にリフォーム
オフィスビルとして貸し出していた商業施設を二世帯住宅にリノベーションした事例です。
まわりの環境はオフィスビルやマンションが建ち並び、眺望が望めない敷地のため、広い空間を活かして内部に解放された都市型の二世帯住宅としました。室内の空間を可能な限り広く取り、閉塞感を与えないように配慮しています。親世帯のインテリアはシックなダークカラーをポイントにしたホテルライクな装いに。子世帯は白やベージュを基調とした、明るくモダンなテイストでまとめました。
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二世帯住宅を単世帯にリフォーム
ご両親に先立たれ、二世帯住宅では暮らしにくくなった為、単世帯にリフォームを行った事例です。既存の和室を活かし、子世帯が望んだ和モダンなインテリアに仕上げました。親世帯のダイニングだった部屋を趣味の楽器が存分に楽しめる空間としています。
このお宅の他にも趣味を思う存分に楽しめるように、使わなくなった部屋をリフォームして書斎やアトリエにするケースや、料理の腕を活かして、料理教室を開校したいとキッチンリフォームを行ったケースなどもあります。
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終の棲家としてのリフォーム
当初は住み替えを考えていたオーナー。しかし、奥様の反対にあい自宅をリフォームすることに。長年住まいに抱いていた不満を解消するリフォームを行いました。また、これからの生活を考え、健康的な暮らしを叶えるため、採光、通風、石材に珪藻土や天然木と素材にもこだわり、ナチュラルな生活環境を整え、バリアフリー設計としています。
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50代以降にリフォームをするメリット
なぜ50代や60代になってから自宅のリフォームをする人が増えているのでしょうか?その答えは、人生の節目と今後の人生を考える時期だからと言えそうです。また、50代以降のリフォームには、次のようなメリットがあります。
インテリア
子育て中にはインテリアを選ぶのも子どもを優先しがちです。例えば、本当は「石やタイルの床」に憧れていても、「もしかしたら子どもが転んでケガをするかもしれない」と考えてカーペットを選択した人もいるでしょう。子どもが成長して危険性が少なくなっても、なんとなくそのまま過ごしてしまったのではないでしょうか。
50代を過ぎると、子育てで慌ただしく過ごしていた頃とは違い、家でゆっくりと寛げる時間も多くなります。若い頃とはインテリアの好みも変わっているはずです。子どもが就職や結婚で巣立ったあとは、夫婦あるいは自身のこだわりを反映させたインテリアを選び、憧れの住空間を実現する方が増えています。
年齢的に最適
建て替えなど一からの家づくりとは異なり、新築と比べて工期も短くハードルが低いように思われるリフォームですが、それでも70代・80代になってから行えるかと言うと、二の足を踏む方も多いのではないでしょうか?間取りなどの打合せの他にも、仮住まいに引っ越しをしなければなりませんし、不要な物を処分する断捨離なども必要になってきます。体力的にも50代・60代のうちに快適な住まいを手に入れたいと思われる方が多いようです。また、人生100年時代と言われる昨今。その後の人生を考えても、50代・60代がリフォームを行う適齢期と言えそうです。
バリアフリー対策
年齢を重ねるとリスクが増えるのが健康問題です。まだまだ元気なつもりでも、ちょっとした段差でつまづいたり、足が滑ったり…。実は家庭内の事故は交通事故より多く、溺死や転倒・転落の割合が高くなっています。早めに浴室や階段をバリアフリー化しておいても損はありません。いざという時に備えている住まいなら、「もしも」の際も安心です。ケガをしたり身体を患ったりしてからのリフォームは大変な労力を伴います。元気な50代・60代のうちに、先のことに備えてバリアフリーを意識したリフォームを行いたいと考える方が多いのも納得です。そもそもバリアフリーとは障害を取り除くこと。小さなお孫さんが遊びに来たときに、ちょっとした段差につまづいて転んだり、無駄な出っ張りにぶつかってケガをするなどの心配もなくなります。しかし、いかにも高齢者向けのリフォームには、まだ若い50代・60代の方は違和感を感じることもあると思います。その際は、車椅子が通れるように廊下や洗面所・トイレなどのスペースを広めにする、手すりを設置できるように壁に下地を入れておくなどの「準備」をしておくだけでも違います。
暑さ・寒さ対策
建築してから20年・30年と経過した家は当然経年劣化をしています。そのひとつに断熱材があげられます。そもそも古い住宅の場合、断熱対策が行われていない建物もあります。また、近年断熱材は飛躍的に進化しました。地球温暖化の影響で、夏の暑さは年々厳しさを増しています。特に年齢を重ねると気温の変化に気づき難く、熱中症のリスクが高まります。また、冬場は家の中の温度差で起こるヒートショックも問題になっています。年齢を重ねれば重ねるほど、厳しい暑さや寒さによる身体への負担は大きくなります。劣化した断熱材の入れ替えや遮光断熱効果のあるサッシに取り換えるなど、住まいの室温を一定に保つことができる住まいが、求められています。50代・60代がリフォームを行うなら、床暖房や自動換気システムなどを導入して、年間を通して快適に過ごせる住空間で健康リスクを回避しましょう。
業者の選び方ポイント5つ
50代・60代で行うリフォームには、現在の過ごしやすさや快適性はもちろん、近い将来への配慮も必要です。ここでは、数多くのリフォーム会社の中から自分たちにぴったりの1社を選ぶためのチェックポイントを紹介します。
ターゲットに50代・60代が含まれているか
リフォーム会社の多くは、ハウスメーカーのように事業規模が大きくありません。そのため、リフォーム会社には得意としているリフォームがあります。ローコストが得意で20~30代をターゲットにしている会社もあれば、シニアに向けた上質な空間を得意としている会社もあります。依頼をするなら50代・60代の実績が多い会社が安心です。実績と同じ数の家族に向き合ってきたため、50代・60代の悩みに寄り添ってきた分、シニア世代が求める家づくりを熟知しています。バリアフリーはもちろん、生活動線をなるべく短くすることも考えておかなくてはなりませんし、夜中にトイレに起きることが増えることを考慮した間取りなど配慮が必要です。夫婦二人での住まいになるのなら、寝室に隣接したトイレや浴室などをまとめたサニタリールームを設けたホテルライクな仕様にするなど、多角的に配慮が行き届いたプランの提案は、50代・60代向けのリフォーム実績が少ない業者には難しいかもしれません。
要望に合わせた提案か
機能性・デザイン・価格など、リフォームで最優先したいことは人によって異なります。話を丁寧に聞き、要望を汲み取った提案をしてくれるかどうかをチェックしてください。わからない点について質問したときに、素人にもわかりやすい説明をしてくれるかどうかも重要です。難しい専門用語をわかりやすく言い換え、必要に応じてコンピューターグラフィックスやサンプルを使って説明をしてくれる業者なら、安心できるのではないでしょうか。さらに、要望を叶えるのが難しい場合は代替え案を提示してくれたり、予算オーバーなら費用を抑えたプランも同時に提案するなど、予算配分にも気を使ってくれること。プランのメリットだけでなくデメリットも伝えてくれる業者は、自社の利益と同じくらい顧客の利益を大切にしていると考えられます。
担当者との相性
担当者との相性が良くない場合、こちらの要望がうまく伝わらず、こんなはずじゃなかった…と後悔する可能性があります。意思の疎通が図り難いことは、ストレスにもなります。自分の伝えたいことが伝わらない、別の意味で捉えられてしまったなど。人と人との問題ですから、相性が悪いのは仕方がないことだと思います。その際に、アフターフォローが会社として取れる体制かどうかも、確認しておきたいところです。
小さなリフォーム会社や個人の設計事務所などでは、所属している設計士がひとりだけという事も珍しくありません。もし、ひとりしかいない担当者と意思の疎通が図り難かったり、相性が悪いと感じた場合、担当者を交代することができません。その点も確認事項としておきましょう。
保証・アフターサービスの充実か
保証やアフターサービスが充実しているかどうかも、契約前にしっかり確認しておきたいところです。工事中に家を破損する事故が起きたり、工事完了後に欠陥が見つかったりすることもあります。不当な工事費用を請求する業者だったり、不備があったときにきちんと対処してもらうためにも、保証や補償については書面で提示してもらうことが大切です。より安心するために、「リフォーム瑕疵保険」に加入している業者に工事を依頼しましょう。工事内容に欠陥が見つかって補修が必要になった場合には施工業者が責任をもって補修を行いますし、万一、施工業者が倒産した場合には保険法人から保険金として補修費用を受け取れます。ただし、対象となる工事や保証期間などに条件があるため、保険内容については事前にきちんと確認しておきましょう。
必ず数社と打ち合わせをして決める
リフォームを思い立ってすぐに依頼先を決めるのではなく、必ず数社と打ち合わせを行い、相見積もりをとって比較検討をしてください。リフォームの打ち合わせには時間も手間もかかります。つい面倒になって最初の1社で決めてしまいがちですが、可能なら4~5社、少なくとも3社ほど選んで打ち合わせをしましょう。
比較すると各社のカラーが見えてきて、自分と相性の良い業者が分かると思います。また、同じ依頼内容でもプランが異なります。プランに応じて価格にも開きがあるため、予算に応じて行いたいリフォームがどんなプランなのか見極めましょう。理想の住空間を実現するために、手間を惜しまないようにしてください。
【まとめ】50代・60代はリフォーム適齢期!
50代・60代は年齢的にライフステージが変わる方が多く、時間や金銭的にもゆとりができる世代です。子育てもひと段落し、好きなインテリアや趣味を楽しんだり、老後に備えて健康的な暮らしができる住まいやバリアフリー住宅を準備するのに、体力的にも適齢期と言えます。
人生100年時代と言われる昨今、快適な住まいは無くてはならない存在です。これからの人生をより豊かにするためにも、50代・60代のうちにリフォームを行い理想の住まいを手に入れましょう。その際のパートナー選びは重要です。この記事で紹介した項目を参考に、長く住み続ける住宅のメンテナンスも含め、信頼して任せられるリフォーム会社に依頼しましょう。