更新2023.02.14
トレーニングルームをリフォームで叶える際のポイントと注意点
「人目を気にせず体を鍛えたい」「いつでも好きな時に汗を流したい」そんな願いを叶えるのが自分や家族専用の「トレーニングルーム」。特に最近はコロナ禍で家で過ごす時間が増え、在宅での運動を行う「家トレ」が普及しています。それに伴い、スポーツジムのように本格的で、さらに自分好みのスタイリッシュなトレーニングルームを自宅につくりたいという方も増えているのです。この記事では、自宅にトレーニングルームを設置したい方のために、部屋をリフォームする際に押さえておきたいポイントや注意点を紹介していきます。
トレーニングルームのリフォームポイントと費用
一般的に、民家の建築構造はスポーツジムの造りとは異なります。何も準備せずに自宅にトレーニング器具をそのまま搬入して使用していると、床を傷めたり、運動中の怪我や事故を招く原因となります。安全で快適なトレーニングルームをつくるには、事前の入念な計画、備品等の準備が必要です。どのように空間を改造すればよいか、ここではリフォームを成功させるために外せないポイントをご紹介します。
トレーニング用にリフォームする最適な部屋とは
「ヨガやピラティスをするだけ」「ルームランナーを置くだけ」というような場合は極端にいうと畳1帖分のスペースがあればトレーニングできます。しかしパワーラック(バーベルトレーニング用のラック)を置くなら最低でも畳4帖分(約6.6㎡)は確保したいところですし、快適性を考慮すると5~6帖分のスペースを要します。当然、複数の器具を設置する場合は、ある程度ゆとりのある空間が必要になります。だからこそ、搬入したい器具のサイズと、搬入口のサイズを確認しておくことも大切です。大型の器具のなかには、分解・組み立てができないタイプのものもあり、「トレーニングルームは出来たものの、肝心の器具が設置できない」ということになりかねません。今はひとつのマシンで複数のトレーニングが行えるものもあり、スペースをコンパクトにすることも可能ですし、スポーツジムさながらの本格的な仕様のトレーニングルームも可能です。トレーニングルームに割けるスペースと希望するトレーニングルームの仕様によって最適なリフォーム計画を行うと良いでしょう。
騒音に注意
トレーニング器具の衝撃や金属音は意外と周囲に響くもの。特にマンションなどの集合住宅では周囲に迷惑をかけてしまうことになります。騒音トラブルの元となるため、事前にしっかりと対策をしておくことをおすすめします。例えば、筋トレ用のバーを置くプレートをゴム製のものにするなど、道具の細かなところまで配慮することで、音を心配することなく安心してトレーニングに集中できます。
また、トレーニングジムでは、イヤホンを使用して音楽を聞かなければなりませんが、自宅のトレーニングルームなら大音量で好きな音楽を掛けることも可能です。音楽をかけながらエアロビクスをしたいというような場合も、よりしっかりとした防音設備が必要になります。床や窓、排気口をリフォームして防音仕様にすることも1つの方法です。
床の強度や対策が必要
ダンベル、バーベルなど重量のある器具を使用する際、その重さから床を守るために役立つのが、ラバーマット(ゴム製マット)です。トレーニングの最中、床に器具を下ろしたときの衝撃を吸収し、防音にも役立ちます。また、パワーラックやベンチなど、床に設置するタイプの器具の重さを分散して安定性を高め、より安全なトレーニングをサポートします。さらに、ゴム素材にはグリップ力(滑り止め効果)があることから防振・耐震の面でも役に立ちます。
木造建築で床材が古く不安がある場合は、床そのものをリフォームして補強することも検討しましょう。自宅の1階や地下室にトレーニングルームを計画している場合は問題になることは少ないですが、もし、2階や3階に計画している場合は、床の構造が機材に耐えられる強度があるか調べる必要があります。そもそもトレーニングマシン自体の重量がそれなりにありますし、マシンに乗ったり負荷をかけたりするため、それ以上の強度が必要になります。
床の状態によっては構造からの改造が必要になる場合もあります。1階の天井をはがして2階の床を支える根太(ねだ)や梁(はり)を補強するのか、あるいは鉄骨を入れるかなど、対策を検討してリフォームを進めなければなりません。
インテリアの注意点
折角トレーニングルームをリフォームしてつくるなら、トレーニングの気分を上げてくれるインテリアにしたいもの。壁や内壁の色合いはトレーニング時の気分に影響します。シンプルに好きな色を選ぶのもよいですが、色の持つ心理効果も考慮してはいかがでしょうか。例えば、癒しのイメージがある緑は、リラックス感を与え、明るく温かい印象の黄色は前向きな気分を引き出します。涼しげな水色や青色には心を穏やかにする鎮静作用があり、疲れにくさにつながります。このような色彩の持つ力を利用することで、モチベーションの維持や向上が期待できます。そんな色の効果をインテリアに取り入れる際に、おすすめなのが変色LED照明です。壁面を白で仕上げ、照明のカラーリングで室内の色を変化させることができます。例えば、トレーニングの真っ最中でやる気をアップさせたいなら赤やオレンジなどの暖色系にセット。クールダウンに入ったらグリーンやブルーなどの寒色系に変化させるなども可能です。
トレーニングルームでは騒音対策などのため、ドアや窓を締めた状態で体を動かすことが多いですが、室内の空気が停滞したり、室温が上がったりしやすく、リフォームで窓をつける際は、窓枠のサイズ、設置位置をよく検討しましょう。大きな窓は採光には優れていますが、外気の影響を受けやすいため夏は暑く冬は寒くなりがちです。また、通風にも優れていますが、トレーニング中は騒音への配慮から大きく開放できない可能性が高いことを念頭に置いておきましょう。さらにサイズに関わらず、窓の設置方角・位置によっては日光が顔に当たってまぶしく、快適な運動を妨げる恐れがありますので、その辺りも考慮が必要です。
トレーニングルームのリフォーム費用
自宅の一部をトレーニングルームに造り変えるためにかかるコストは、総額で数十万から数百万と幅があります。自宅の構造体によっても異なりますし、どのように改築するか、どんな種類のトレーニング器具を設置するかによって違ってくるからです。おおよそですが、畳10帖ほどのスペースでリフォーム(廃材処理、空調工事、電気配線工事、鏡取り付け、床補強などを含む)費用が数十万~百万前後。トレーニング器具は低予算だと数万から、それなりに本格的なものとなると百万前後。マットなどの備品もピンキリで数万から数十万といったところです。壁の一面を鏡張りにしたいなどプラスアルファの要望が増えればその分金額も上がります。
後悔しないリフォームのためには、自分や家族の満足感を追求するだけではなく、安全性や防音対策を施すなど、細部まで配慮することが大切です。
ホームトレーニングルームのメリット
自宅に設置されたトレーニングルームは、スポーツジムに対して「ホームジム」「うちジム」とも呼ばれ、近年フィットネスにおけるトレンドになりつつあります。そのホームジムのメリットをまとめました。
・ジム通いの費用、行き帰りの時間も節約できる
・思い立ったらいつでも好きなときに運動できる
・人目を気にせず、自分のスタイルで集中できる
・内装やBGM等、雰囲気を自分の好みにできる
加えて、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行により私たちのライフスタイルが大きく変化し、「家で過ごす時間をいかに充実させるか」ということに人々の関心が集まりました。自宅でのトレーニングは、そうした時代の流れに適合した利点も持っています。
・テレワークによる運動不足の改善できる
・感染リスクを避けて運動ができる
・自宅にトレーナーを呼んで個人レッスンができる
ホームジムは初期費用こそかかりますが、生涯にわたる健康維持やこれからのライフスタイルの在り方を考えれば検討する価値は十分あります。
トレーニングルームのリフォーム事例
こちらでは実際にリフォームでトレーニングルームを自宅に設けた事例を紹介したいと思います。マンションに戸建て住宅、用途に合わせたトレーニングルームをご提案しています。単純にトレーニングマシンを置くだけの部屋ではなく、トレーニングが楽しくなるなるような趣向を凝らした実例をご紹介いたします。
分譲マンションにトレーニングルームを
マンションの構造体が鉄筋コンクリートの場合、重いトレーニングマシンも設置可能です。ただ、マンションによって荷重の制限などもあるので、リフォームでトレーニングルームを計画する場合は、マンション規約を確認しましょう。
限られたスペースを有効利用するため、壁面を鏡張りにしています。トレーニングフォームの確認と共に部屋を広く見せる効果も。元はウッディなフローリングをダークカラーのタイルに変更しスタイリッシュで洗練されたイメージに変更しています。
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近未来的なトレーニングルームに
使用していなかった戸建て住宅の地下室をトレーニングルームに変更。正面はマジックミラーで覆い、マジックミラーの内側にテレビを設置することで、テレビの電源を付けると画像が浮かび上がります。天井の照明は変色のLEDライトを使用して、気分によってカラーリングを変えられる仕様に。無機質な空間にトレーニングマシンが映える、近未来的なトレーニングルームでトレーニングのモチベーションを上げるインテリアをご提案しました。
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本格的なダンススタジオ
奥様はフラダンスで全国大会に出場するダンスチームに所属しており、本格的なダンススタジオをご希望でした。広々としたダンススタジオの前面を鏡張りに、ポイントウォールは淡いピンクを使用し、フラダンスのスタジオらしい仕様です。
大会前はメンバーがこのダンススタジオに籠ってレッスンを行い、大会に臨むそうです。
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【番外編】ホームジムに置きたいアイテム5選
ホームジムで使うトレーニング器具には様々なものがあり、近年はスポーツジムにあるような固定型の大きな器具だけではなく、持ち運びができてより手軽に使えるアイテムも増えています。ここではリフォーム後のホームジムにぜひ置きたい5つのアイテムをピックアップ。いずれも楽しく効率的なトレーニングに役立つものばかりです。
1.ヨガマット
ヨガマットには、床の硬さや冷えから身体を保護し、体の安定性を助けてポーズを取りやすくする役割があります。もちろんヨガだけではなく、ピラティス、ストレッチ、腕立て、腹筋など、幅広いトレーニングにおいてケガの防止に役立ちます。持ち運びをを考えるなら3~5ミリ前後のマットがおすすめですが、ホームジムでしか使わない場合は安定性を確保するために5ミリ以上のあるものを選ぶとよいでしょう。
2.腹筋ローラー
腹筋ローラーは車輪とグリップで構成されたシンプルな構造の器具です。グリップを掴み、コロコロと前後に車輪を転がすことで、下腹部の引き締めに効果を発揮します。車輪のサイズは様々で、直径が小さなものほど体にかかる負荷が大きくなります。逆に直径が大きなものほど安定感があり、初心者向けです。腹筋を含めた体幹を中心に、腕や肩、股関節、太ももの筋肉など全身をバランスよく鍛えることができます。
3.ダンベル
トレーニングの器具の定番ともいえるのがダンベル。あらかじめ重さが決まった「固定式」と、重さを調整できる「可変式」の2種類があります。固定式は比較的軽量なものが多く、二の腕やウエストの引き締めに効果的で、筋トレ初心者やシニア世代の体力づくりにも適しています。可変式は上半身と下半身で重さを変えたり、負荷に慣れたら重りを足したりと、トレーニングの幅を容易に広げることができ、全身をくまなく鍛えたい方におすすめです。
4.筋膜リリース
最近スポーツジムで人気を集める筋膜リリースローラー。形や素材は様々ですが、形で分けると最もオーソドックスな円柱タイプ、円柱タイプよりも細く取っ手の着いたスティックタイプ、ボールタイプがあります。腰、腹部、太もも、ふくらはぎなどを乗せて転がすことで、筋肉を覆う「筋膜」がほぐれ、血行不良による不調の改善が期待できます。足裏など狭い部位をピンポイントでほぐしたい場合はボールタイプが適しています。
5.ストレッチボール
バランスボールは荷重に耐える丈夫なPVC素材で作られたボールです。空気を入れて使用するため、軽さや扱いやすさが特徴です。サイズは幅広く、一般的に多いのは直径45㎝、55㎝、65㎝、75㎝です。ボールの上に座ることでバランス感覚を鍛えたり、姿勢や体の歪みを整えることができます。座るほかには足で挟んだり、背中や腹部を乗せたりすることで全身の筋トレやストレッチに役立ちます。アスリートや芸能人の方にも愛用者が多く、定番のアイテムとなっています。
【まとめ】トレーニングルームのリフォームを成功させる秘訣
今回はトレーニングルームを想定したリフォームのポイントや注意点を紹介しましたが、中には「自宅でボルタリングがしたい」「シニア向きのホームジムをつくりたい」という方もいらっしゃるでしょう。理想のトレーニングルームは様々だからこそ、事前の構想、現状の点検、時には専門家も交えた入念な検討がスムーズなリフォームにつながります。自分がどのようなトレーニングをしたいのか、そのためにどの種類の器具を準備するのか、さらにどんな雰囲気の空間をつくりたいのか、具体的な完成イメージを膨らませながらイメージを具現化して行くことが大切です。ぜひこの記事を参考にして、快適なトレーニングルームを実現させてください。