更新2023.02.14
単世帯住宅⇔二世帯住宅のリフォーム注意点
二世帯住宅のリフォームは、「単世帯住宅から二世帯住宅へのリフォーム」と「二世帯住宅から単世帯住宅へのリフォーム」があります。どちらのリフォームもライフステージの変化が関係してきますので、しっかりとした計画が必要です。その際に知っておくべき基礎知識や注意点をわかりやすく解説いたします。
これから二世帯住宅のリフォームを検討されている方は、ぜひ参考になさってください。
二世帯住宅にリフォームするなら知っておきたい3つのタイプ
単世帯住宅から二世帯住宅にリフォームを検討しているなら、「完全同居型」「部分共有型」「完全分離型」この3つのタイプから自分たちのライフスタイルに合ったタイプを選択することが、ストレスのない快適な二世帯住宅にリフォームをする第一歩です。
選んだタイプによってリフォームにかかる費用や生活スタイルが異なりますので、3つのタイプの特徴をしっかり把握しておきましょう。
完全同居型はすべてのスペースを共有する距離が近い二世帯住宅
完全同居型の二世帯住宅とは、玄関や浴室、キッチンやリビングなど個室以外の多くの部屋を両世帯共有で使用する二世帯住宅を指します。多くの場所を共有で使用することから、プライバシー性は低いですが、家族間の距離が近くお互いの様子がいつもでもわかる二世帯住宅です。完全同居型の二世帯住宅を選ばれる方は、お父様、お母様どちらかと同居される方が多いです。つくりは単世帯住宅に近く、浴室やキッチンなど設備の費用がひとつで済むため、他のタイプよりもリフォームの費用が抑えられます。しかし、両世帯でスペースを共有するため、きちんと計画を立てないとストレスの原因にもなりかねません。それぞれの世帯のライフスタイルを尊重し、親世帯の寝室を広めに取ってミニキッチンを配置したり、トイレを設置するとプライバシーが保ちやすいです。
部分共有型は一部の共有スペースが存在する二世帯住宅
部分共有型の二世帯住宅とは、住まいの一部を両世帯で共有する世帯のことを指します。
例えば、LDKは親世帯、子世帯それぞれありますが、玄関を共有していたり、浴室を共有していたり、住まいの一部を両世帯で共有します。共有スペースはそれぞれの家族のライフスタイルによって、さまざまなパターンが考えられるため、部分共有型の二世帯住宅にする際は、事前にどの部分を共有スペースとして活用するのか、両世帯で話し合うことが大切です。可能であればリフォーム会社も話し合いに参加してもらいましょう。なぜなら、部分共有型には多くのパターンがあるため、プロならではの意見で目から鱗!というケースもよく耳にします。また、両世帯で話し合った結果をリフォーム会社に伝えても、プラン的に厳しかったり、予算オーバーになる場合、再度話し合いの機会を設けなければなりません。効率よくプランを進めるためにも、両世帯の仲介役としても、プロの視点が入るとリフォーム計画が円滑に進みやすいです。
完全分離型は生活空間を一切共有しない二世帯住宅
完全分離型の二世帯住宅は共有スペースが無く、すべての部屋を両世帯専用で設けているタイプの二世帯住宅です。マンションのお隣同士をイメージしていただくとわかりやすいと思います。それを一軒家で行っているのが完全分離型の二世帯住宅で、3つのタイプの中で一番プライバシーが保たれるのが、完全分離型の二世帯住宅です。完全分離型にもパターンがあり、世帯を左右に分ける「左右分離型」と、1階と2階で世帯を分ける「上下分離型」のなどがあります。どちらを選ぶかは、その世帯の今後の生活スタイルによって変わって来ますし、敷地の条件によっても異なると思います。
ただ、完全分離型の場合、玄関ドアからキッチン、お風呂に至るまで、それぞれの世帯で必要になりますので、リフォーム費用は割高になります。
単世帯住宅から二世帯住宅へリフォームする際の注意点
スペース別の二世帯住宅で共有利用する場合の注意点を紹介します。完全同居型と部分共有型へのリフォームを検討している場合、事前に両世帯でよく話し合っておくべきことがたくさんあります。共有にするスペースは両世帯のライフスタイルによって向き不向きがあるからです。ここからはキッチンや浴室などスペース別に共有する場合の注意点をご紹介します。
キッチン共有は食事時間のずれや広さに注意
キッチンを共有する場合でも、親世帯と子世帯とでは食事する時間がずれるケースがほとんどです。食事の好みによっては、同じ献立とも限りません。また、調理や後片付けを分担して1人ずつで行うのか、それとも2人以上で行うのかによってキッチンの広さやシンクの大きさを考える必要があります。予算や敷地に余裕がある場合は、冷蔵庫などの家電は世帯別に用意したり、世帯の占有スペースにお茶くらい飲めるようなミニキッチンを用意したりしておくと、ストレス軽減につながるでしょう。今日の晩ごはんに使おうと思っていた食材が先に使われてしまった!お風呂あがりに食べようと楽しみにしていた好物のアイスが無くなっている!などのトラブルも少なくなります。また、匂いにも注意が必要です。換気扇や吸気口の位置確認をしっかり計算しないと思わぬトラブルも。世帯が増えれば換気扇の増設を検討するのも忘れないでください。
リビング共有は使用時間やTV番組選択によるトラブルに注意
リビングで家族みんなでくつろぐのは、コミュニケーションのためにも大切な時間です。しかし、TVも共有にしてしまうと見たい番組が違って気兼ねなくのんびりくつろげなかったり、親世帯と子世帯が集えるようにリビングを共有にしたのに、結局TVの好みが違うため各居室で好きなテレビを見てしまって集うことがない…というケースも。その場合、スクリーンなどを設置してシアタールームとしても活用できる仕様にすると良いでしょう。また、世帯ごとに生活リズムが異なることがほとんどですから、親世帯の寝室がリビングなどに近いと、夜遅い時間は就寝しているであろう親世帯に気を遣う必要も出てきます。音が響きやすいリビングや浴室は、親世帯の寝室から離れた位置がおすすめです。
浴室やトイレの共有は朝晩の時間被りに注意
浴室やトイレを共有にすると設備費や光熱費はかなり節約されます。ただ、夜入浴時間や朝のトイレ・洗面所には同じ時間帯に家族のほとんどが利用するため、不便に感じることもあるでしょう。タオルやシャンプーなど世帯によって違うことも多く、置き場所が足りないと後で気づくこともあるので、浴室内の収納量にも注意が必要です。家族の誰かが入浴中に、脱衣所を兼ねている洗面所に入るのは抵抗を感じるケースなどもありますから、洗面所と浴室、洗濯機は共有しないほうがいいと考えるひとも多いようです。
玄関の共有は間取りへの影響が大きい
玄関を共有するかどうかで、間取りが大きく変わります。玄関を別ける場合はプライバシーが保たれる利点がありますが、宅地面積の中で玄関に割くスペースが大きくなります。単に玄関のスペースだけではなく、その先に続く動線にも関係するのでその比重は大きいと言えるでしょう。また、折衷案として玄関はひとつでも、玄関ホールからそれぞれの世帯に別れた間取りにするとお互いのプライバシーが保たれやすいです。玄関を共有するとある程度、家族の外出と帰宅が把握できるため、その点に注視して判断するとよいと思います。プライバシーの問題はトラブルの要因になりやすいので、事前に両世帯でよく話し合いましょう。
単世帯住宅から二世帯住宅へリフォームを考える主なきっかけは、下記が挙げられます。
● 両親の介護
● 子供の結婚
● 子世帯の出産
これらは、ライフステージの変化による動機となりますが、注意しなければならないのが同じライフステージの変化でも、家族によって求める二世帯住宅のスタイルが異なることです。
例えば、両親の介護を機に二世帯住宅にリフォームを検討した場合、どの程度の介護が必要かによって二世帯住宅のリフォームプランが異なります。「食事」「洗濯」「掃除」といった家事全般をこなしながら親の介護まで担うとなると、物理的な距離は近いに越したことはありません。ただ、将来の介護を見据えた場合は、ある程度プライバシーが保てる方がお互いに気兼ねなく過ごせる場合もあります。
子供の結婚を機に二世帯住宅にリフォームするなら、完全分離型が良い場合もありますし、子世帯が共働きの場合、お子様の誕生を見越して部分共有型にリフォームしても良いでしょう。
そのため、単世帯住宅から二世帯住宅にリフォームする場合は、親世帯、子世帯で事前によく話し合うことが非常に重要です。お互いが納得した上で、リフォーム計画を進めましょう。
単世帯住宅から二世帯住宅にリフォームするメリット・デメリット
単身世帯から二世帯住宅にリフォームをすると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
今後リフォームを検討する判断材料として、ご紹介するメリットとデメリットをふまえてリフォームを検討することをおすすめします。
単世帯住宅から二世帯住宅にリフォームする4つのメリット
単世帯住宅から二世帯住宅にリフォームすることで得られる4つのメリットをご紹介いたします。
● 建設費・生活費の節約につながる
● 介護しやすく、いざという時に安心
● 子育てしやすい
● 世代を超えて家族と過ごす時間が増える
二世帯住宅にリフォームする場合、2つの世帯がひとつになるため「節約」につながることが期待できます。建築にかかる費用も子世帯の住居を新たに設けるより、リフォームの方が費用を抑えられますし、税金の優遇などもあります。
また、二世帯住宅は両世帯の距離が近いため、もし家族の誰かが倒れたなどの不良の際も気づきやすく、お子様が風邪など病気になってしまった時も、共働きの子世帯ならどちらかが仕事を休まなければなりませんが、親世帯に看病をお願いできることもあるでしょう。核家族化によって生まれたさまざまな問題を解消でき、家族が助け合って生活できることが、二世帯住宅最大のメリットと言えます。
相続税や不動産取得税の軽減や3世代同居リフォーム減税の対象になることにも注意
二世帯住宅へリフォームを行うと、相続税、不動産取得税、固定資産税などが軽減されます。また、リフォーム後に3世代が実際に住むことが前提となりますが、キッチン・浴室・トイレ・玄関のうち2つの設備が2つ以上になる場合は、リフォーム費用またはリフォームローンが減税の対象となります。リフォームローンは住宅ローンよりも返済期間が短いですから、減税は大きなメリットとなるでしょう。
プライバシー確保や生活費の負担割合などは事前にしっかり話し合って決める
完全分離型にできない場合、プライバシーや生活費の負担割合などを事前に話し合って決めておかないとストレスやトラブルにつながります。入ってほしくない個室や、何か作業をしているときは集中したいので話しかけないでほしいなど、ちゃんと相手に伝えておかなければわかってもらえないことも多いでしょう。また、光熱費以外の電話代、住宅ローンなど生活にかかる経費の負担割合も決めておきましょう。在宅している時間は親世帯のほうが多いのに、支払いは半分ずつなのは納得いかないなど、トラブルになることも多いからです。同居前に負担割合を決め、構造的に可能ならばメーターを世帯別に設置し、使った分だけ精算するのも1つの手です。家事分担もしっかり決めておきましょう。一緒にキッチンに立つのは楽しいですが、忙しくて役割分担が偏ってしまうことも考えられます。また、水回りの汚れなどはきれい好きな家族がいると大変です。共同作業の範囲や、掃除場所の担当も事前に決めておくことをおすすめします。
単世帯住宅から二世帯住宅にリフォームする3つのデメリット
メリットがあれば、やはりデメリットもあります。二世帯住宅にリフォームする3つのデメリットをご紹介いたします。
● ストレスになる場合もある
● お互いを尊重する必要がある
● 家が狭くなる
二世帯住宅のリフォームには大きく分けて3つのタイプがあるとお話しましたが、このタイプが合っていないとストレスに感じてしまうことがあります。例えば、距離が離れているから家族との接点が少ないのは当たり前と割り切れていたのが、完全分離型の二世帯住宅の場合、近くに居ても家族との接点が少ないためより寂しさを感じてしまったり、物音が気になって眠れないなど、単世帯で住んでいた時には起こらない問題が乗じることもあります。
また、現在住んでいる家を二世帯住宅にリフォームする場合、物理的に狭くなります。使用していないスペースがある場合は良いですが、ある程度狭くなることは覚悟しておいた方が良いと思います。
二世帯住宅の多くは、いずれ単世帯住宅に戻す可能性も高いので、単世帯住宅に戻すときのことも配慮した計画も検討しましょう。
二世帯住宅から単世帯住宅へリフォームする際の注意点
二世帯住宅から単世帯住宅へとリフォームする主なきっかけは、両親が老人ホームに入居するなど、同居の必要性がなくなった場合や中古住宅で気に入った物件が二世帯住宅だったなどのケースがあります。二世帯住宅から単世帯住宅にリフォームする場合、細かく分かれていた間取りを大空間にリフォームすることが多いと言えます。
「完全同居型二世帯住宅」を単世帯住宅にする際の注意点
「完全同居型二世帯住宅」は、ほかの型と比べて単世帯住宅にリフォームする際の労力が少ない傾向にあります。なぜならすべてが共有であるため、世帯がひとつになっても生活スタイルにあまり影響を受けません。そのためリフォームも単世帯のリフォームとあまり変わらず行えます。使わなくなった部屋をリビングとつなげて広くすることもできますし、ほかの部屋にリフォームすることも可能です。
今後のために有意義なスペースとして使えるよう、話し合ってみても良いかもしれません。
「部分共有型二世帯住宅」を単世帯住宅にする際の注意点
「部分共有型二世帯住宅」を単世帯住宅へとリフォームする場合は、まずどの部分を共有していたかを把握し、どの様なリフォームが可能か検討しましょう。リフォームをする場所によって必要な工事やかかる費用が異なります。
たとえば、キッチンを共有しており、浴室は分離しているという場合は、浴室を取り除いてその空いたスペースを何にするのか、既存の部屋とつなげるのか、新しい部屋や収納のスペースにするのかなど、検討する必要があります。部分共有型の場合は、既存の部屋との関係性を考慮したリフォームを行いましょう。
近年では、いつか単世帯住宅へ戻すことを踏まえて「部分共有型二世帯住宅」にリフォームすることが増えています。
単世帯になった時に困らないよう、あらかじめ壁などを簡単に取り外しできるようにし、どんな部屋として活用するのかを踏まえて設計しておくことで、リフォームがよりスムーズに進むメリットが得られます。二世帯住宅の期間が限定的なら、単身世帯に戻すことも考え、リフォームしやすい設計にしておく事をおすすめします。
「完全分離型二世帯住宅」を単世帯住宅にする際の注意点
「完全分離型二世帯住宅」とは共有スペースや生活空間を共有しない二世帯住宅ですので、単世帯住宅へとリフォームする場合は、間取り変更を要する大規模なリフォームの可能性が高くなります。
特に、お風呂場やキッチンは各世帯に1つあれば充分と考えることが多いため、使う機会がなくなったお風呂場やキッチンをどのような部屋へとリフォームするかの検討が必要です。中途半端なリフォームは場合によって使いにくくなるため、思い切って間取り変更も兼ねたフルリフォームや躯体だけを残したスケルトンリフォームを行い、新築のような仕上がりにリフォ―ムするのもおすすめです。
完全分離型二世帯住宅を単世帯住宅に戻す際は、予算と部屋の活用手段のバランスを考えてリフォームを行いましょう。
両世帯の仲介になる実績ある会社に依頼する
単世帯を二世帯に、または二世帯を単世帯にするリフォームでは、両世帯がさまざまなことをじっくり話し合って決めていく必要があります。現在の生活時間やライフスタイルのギャップだけではなく、将来に渡ってライフスタイルの予測も必要です。そのため、多方面から提案できるリフォーム業者がおすすめです。二世帯住宅リフォームの施工実績が多い会社だと、過去の施工例も参考に親身になって相談に乗ってくれるでしょう。ときには両世帯の仲介役にもなってくれます。また、増築・建て替えには重要な建ぺい率や容積率などの問題にも詳しい業者や、資金計画の相談やローンの紹介などに対応してくれる業者もおすすめです。
【まとめ】二世帯住宅リフォームの基本を押さえて納得できるリフォームを!
単世帯住宅から二世帯住宅のリフォームを行う場合は、それぞれの家族に合ったリフォームプランを検討することが重要です。別々に暮らしていた親世帯、子世帯が同じ屋根の下で生活をすると、問題も生じやすくなります。トラブルを回避するためにも事前の話し合いが重要になります。どのタイプでリフォームを進めていくのか、どの部分を共有スペースとするのか、単世帯住宅に戻す場合を考えてリフォームをするのかなど、しっかり話し合いましょう。
また、二世帯住宅を単世帯にリフォームする際は、部分的なリフォームよりもフルリフォームやスケルトンリフォームなど大胆な間取り変更を行った方が、単世帯に適した暮らしやすい住まいにリフォームすることができます。