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戸建てリフォーム

更新2023.02.14

鉄筋コンクリート住宅のフルリフォームで気をつける3つのポイント

鉄筋コンクリート住宅には頑丈で耐震性、耐火性、防音性、デザイン性が高いなどの特徴があります。
一から建築する場合だと費用もかかるため、長年住んできた鉄筋コンクリート住宅をフルリフォームという形で生まれ変わらせ、新たな自宅で生活を始めたい、と考えている方も多いでしょう。あるいは、値段の安い中古の鉄筋コンクリート住宅を購入し、それをフルリフォームしてから生活を始める、という選択肢もあります。
今回は、鉄筋コンクリート住宅をフルリフォームする際、理解しておきたい3つのポイントとフルリフォームの費用や専門知識について詳しく解説します。

フルリフォームとは住まい全体を希望の形にリフォームすること

フルリフォームの図面

リフォームが建物の改修を指すのに対して、フルリフォームは、建物内を全体的に改修し、自分好みの住まいを作り上げることを指します
例えば、内装を一新して、室内全体に統一感を持たせた自分好みのインテリアテイストに生まれ変わるリフォームは、典型的なフルリフォームの形です。また、中高年の方が終の棲家として住まい全体をバリアフリーにフルリフォームするのも、良いフルリフォームの事例だと思います。
また、水廻りについても、部分的なリフォームだと各種器具を新しいものに交換するだけですが、フルリフォームで家全体の内装を変える場合は、給排水管の移動も視野に入れることができます。リビングダイニングにオープンキッチンを取り入れて、それまでになかった大きな空間を家の中に作り上げる、といったこともできるわけです。

鉄筋コンクリート造の住宅はラーメン構造と壁式構造の2種類

鉄筋コンクリート造のフルリフォームを考えるに当たって、理解しておくべきなのがコンクリート住宅における構造パターンです。大きくわけて2つの種類があります。
1つは「ラーメン(ドイツ語で額縁という意味)構造」と呼ばれるもので、建物を柱と梁(はり)で支える構造を指します。この場合、階上は柱で支えられているので、壁を撤去するなど広い空間を創り出したり、間取り変更を伴うフルリフォームを行いやすい構造体です。このタイプの構造は、マンションなどでもよく用いられています。
もう1つは「壁式構造」と呼ばれるもので、柱ではなく壁で建物を支える構造です。建物の中に柱や梁がないので、見栄えが良いという点が大きな魅力といえます。また、壁の強度が高いので、遮音性・防音性が高いです。しかし、柱ではなく壁に階上・屋根の重みがかかっているため、建物を支えている「構造壁」を取り壊してのリフォームが行えないため、間取り変更などは制限がかかる場合があります。
コンクリート住宅のフルリフォームのあり方は、対象の建物がラーメン構造か壁式構造かによって変わってきます

ラーメン構造か壁式構造かは間取り図で確認する

ラーメン構造か壁式構造かは、新築・中古マンションの広告には記載されていません。購入を検討している住宅がどちらの構造なのかを不動産の担当者に確認しておきましょう。また、構造は平面図などでもを確認できる場合があります。ラーメン構造であれば、柱や梁が室内に出っ張るため、図面からも読み取れます。対して、壁式構造の場合は室内に柱による凹凸が無く、スッキリとしているように読み取れます。

 

鉄筋コンクリート造の住宅をフルリフォームする際のポイント

ポイントを教える先生

以上のことを踏まえた上で、実際に鉄筋コンクリート造住宅をフルリフォームするに当たって注意しておきたいポイントについて解説します。ここでは、構造の特徴に合わせたフルリフォームを考える、中古物件をフルリフォームする場合は1981年以降の物件を選ぶ、鉄筋コンクリート住宅が持つ弱点を補う視点を持つ、この3点について取り上げます。

 

構造の特徴に合わせたフルリフォームを考える

鉄筋コンクリート造の住宅にはラーメン構造と壁式構造の2パターンがあり、この構造に合わせた形でフルリフォームを行う必要があります。例えば、壁式構造の建物・マンションで壁を大幅に打ち壊すことを前提とした、大掛かりな間取り変更のフルリフォームは行いにくいです。既存の構造を活かしながら、住居全体のリフォームを考えていきましょう。もし、リフォームありきでコンクリート造の中古住宅や中古マンションを購入する際は、事前に希望しているリフォームが叶うのか事前に確認しておくと良いでしょう

 

中古物件をフルリフォームする場合は1981年以降に建てられた物件を選ぶ

日本ではここ数十年以内に大地震が来ると指摘する専門家は多く、さらに東日本大震災の記憶も新しいことから、住居選びの際、建物の耐震性を重視する人が増えています。実は建物の耐震性は、いつその建物が建てられたのかによって大きく違っているので、中古物件を購入する際は注意が必要です。
具体的にいうと、改正建築基準法が施行された1981年6月1日以前に建てられた建物は、耐震性が弱いです。それ以後に建てられた建物は、震度6~7クラスの地震が来ても倒壊しない強度を基準として作られているため、耐震性は高めといえます。
そのため、鉄筋コンクリート造住宅の中古物件を購入してフルリフォームを行うという場合、極力1981年以降に建てられた物件を選びましょう。コンクリート製は頑丈なので、古い建物でも魅力的な建物は多いです。もし、1981年以前に作られた住宅を購入した場合は、地震に弱い恐れがあるため、耐震補強なども視野に入れたフルリフォームをおすすめします

 

鉄筋コンクリート造の住宅が持つ弱点を補うという視点を持つ

フルリフォームの目的は、内装をすっかり変えて新たな生活を始めたい、親が高齢になったので住みやすい形に自宅を一新したいなど、人・家族によって変わってくると思います。しかし、どのような目的でフルリフォームする場合でも、鉄筋コンクリート造の住宅が持つ欠点を補うという視点は持っておきたいところです。
例えば、鉄筋コンクリート造の住宅は太陽光を浴びると高熱を帯びやすいなど、外気の影響を受けやすい構造体で、断熱・遮熱性が弱いという欠点があります。古い建物だと断熱材が用いられていないケースもあります。フルリフォームに合わせて断熱効果の高い断熱材や壁材、塗料などを導入し、建物全体の断熱・遮熱性を高めておくと、真夏や真冬でも快適に過ごせるようになります。
また、鉄筋コンクリート造の住宅は木造に比べて湿気に弱いです。コンクリートは水分を吸収しにくいため、屋内に湿気が籠もりやすく、カビのトラブルも起こりやすいです。換気口・給気口を設けてずっと換気ができる「24時間換気」などを導入した、フルリフォームを行うなどの対策を取ることも大事です。

 

鉄筋コンクリート造の住宅のフルリフォームは建て替えよりも費用を抑えられる

コストダウンの表

鉄筋コンクリート造の住宅のフルリフォームは、建て替えを選択するよりも、おおよそ60~70%のコストで実現可能です。浮いたコストで内装のグレードをアップするという選択もできます。鉄筋コンクリート造の住宅を建て替える際は、解体費用もかかります。もちろん、フルリフォームでも解体は行いますが、既存の建物をゼロにする建て替えとはかかるコストが異なります。また、鉄筋コンクリート造の住宅は木造よりも解体費が割高です。フルリフォームか建て替えかで検討する際は、建築費だけではなく、トータルの費用で比較検討しましょう

 

リフォームは構造による坪単価の差が無い

鉄筋コンクリート造の住宅と木造住宅を比較した場合、新築費用に大きな差が生まれます。注文住宅で建てた木造住宅の坪単価は、家のグレードにもよりますが、一般的には平均坪単価約80~100万円程度の費用が発生します。一方、鉄筋コンクリートで新築するとなると、平均坪単価は約140~160万円と、費用は大きく異なります。
ですが、フルリフォームとなると、構造は既存を活かすため、木造、コンクリートでの違いは、ほぼありません。新築する場合とリフォームする場合を比較すると、鉄筋コンクリート造の住宅のリフォームの方がコストパフォーマンスが上々といえるでしょう。

 

鉄筋コンクリート造のフルリフォームは専門知識が必要

建築の専門家の話し合い

鉄筋コンクリート造の住宅をフルリフォームする際は、専門的な知識が欠かせません。「どのように壁を抜くか」「どこを補強すべきか」といった構造上の知識が必要になります。特に大規模なリフォームを行う際は「建築確認申請」が必要になります
建築確認申請は構造計算書偽装事件(姉歯事件)を契機に、こうした問題の再発を防止するため、建築基準法・建築士法等が改正され、建築確認・検査の厳格化、民間確認検査機関に対する指導監督の強化、建築士等に対する罰則の強化などが強化されました。そのため、建築確認申請が伴う大規模リフォームは日頃から鉄筋コンクリート住宅に携わっている、鉄筋コンクリート造の住宅のリフォームの実績が多いリフォーム会社に依頼することをおすすめします。

 

【まとめ】大切なのは鉄筋コンクリート造のリフォーム経験が多いこと

家全体に改修工事を施すフルリフォームを、鉄筋コンクリート造住宅に対して行う場合は、構造に合わせること、1981年以降に建てられた建物を対象とすること、鉄筋コンクリート造住宅が持つ弱点を補う視点を持つことが挙げられます。特に中古物件を購入してフルリフォームする場合は、希望するリフォームが行えるのかを確認しておきましょう。鉄筋コンクリート造の建物は、リフォーム会社のレベルによって行えるリフォーム内容に差が生じやすい構造体でもあります。後悔のないフルリフォームを行えるように、リフォーム会社選びは実績を踏まえて慎重に行いましょう。